読書感想文

小学生のころ、夏休みになれば宿題が必ずありました。当然最後に駆け込んでなんとかクリアしてきたのですが、その中でも読書感想文が苦手でした。目次やあとがきを適当に書き写して提出することもありました。
しかし、小四のときの担任の先生が、夏休みの宿題があります、と発表したときに当然のように皆がいやそうにするのですが、そのときに先生が言っていた言葉が心に残っています。
「読書感想文って感じたことをそのまま書くだけだから、先生は一番楽だったよ」
そのとき、「あぁ、そうか」と納得したのを覚えています。
次の冬休みに、その休みの間の思い出を作文にする宿題が出ました。私は家族の皆で屋根の雪を下ろしたときの体験について書きました。先生の教えの通り、そのときの心情をそのまま書きました。おそらくこれまでにもっとも短い時間で書けたし、もっとも素直な作文が書けました。作文が苦手な僕には奇跡のような瞬間でした。すると、なんとその作文がクラスの代表として全校生徒の前で話すことになりとても驚きました。ただあったことをそのまま書いただけです。なぜ僕の作文が選ばれたのか、不思議でしょうがなかったです。素直な気持ちが心を打ったのかもしれません。
今、先生に伝えたい。先生は「感じたことを書けばいい」っていうけど、そんなに簡単じゃないよ。書くことが難しければ、感じることも難しい。それを簡単だと言える先生はとても才能のある方だったんだと思います。
今でもこの先生のことはよく思い出します。一番自分のことを見てくれていたように感じるからです。心から感謝します。先生のように作文が簡単だと言えるような、感じたことをそのまま書ける人になりたいな。